モブ転生のはずが、もふもふチートが開花して 溺愛されて困っています
 次の日から私は、レジスを自分のものにしようと奮闘した。フィーナからレジスを奪うことができれば、フィーナに大きなダメージを与えることができると思ったからだ。
 いくらレジスが庶民とはいえ、フィーナにはもったいなさすぎる。貧乏同士が仲良くしたところでメリットもないし、私なら、レジスに夢のような生活を送らせてあげることができる。

 学園にいるあいだは、常にレジスを追いかけまわした。レジスは私を相手にしなかったが、私はめげなかった。いつか、私のよさに気づいてくれるはずだ。

 レジスはいつも、昼休みになると誰よりも先にどこかへ消えて行った。追いかけようと思ったときにはもう遅くて、レジスの姿はどこにも見当たらない。
 だけどある日、私はレジスの後をつけることに成功した。ランチをとることはあきらめて、こっそりレジスの動向を窺う。レジスは裏庭のさらに奥の、校舎からはだいぶ離れた場所へと入っていった。

 そして、私はそこでレジス以外の人物を見つけてしまった。レジスがいるのとは反対側にある倉庫付近に、フィーナの姿があったのだ。どうして学園内に入ってきているのかはこの際どうでもいい。それよりふたりは昼休みにこうやって、逢瀬を楽しんでいたというの?
 私の考えとはちがい、フィーナはレジスに見つからないようこそこそと倉庫に入っていった――と思ったら、今度は倉庫から白猫が飛び出してきた。
 白猫がレジスのもとへ向かうと、レジスはうれしそうに白猫を抱き上げた。……レジスって、あんな顔をするのね。初めて見たわ。
 もっとレジスと白猫を見ていたい気持ちはあったが、私はフィーナのことが気になり、ふたりに気づかれないように倉庫へと近づいた。
 扉は少しだけ開いたままになっている。中を覗くと、フィーナが着ていた服だけが無造作に散らばっていた。

 ――ああ、そういうことだったのね。

 レジスと戯れる白猫を見ながら、私はにやりと笑みを浮かべた。
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