ミスアンダスタンディング
「…みぃ」
俺の声に反応した彼女は閉じていた瞼をゆっくりと持ち上げて薄目をこちらに向けた。
「大丈夫?」
「…ん」
赤く上気した頰を撫でながら問いかけたそれに彼女は小さく頷く。
最中は勿論だけど、情事後のみぃもかなり色っぽい。
今日も今日とて色香を漂わせる彼女の頭の下に腕を滑り込ませながら、思い出したように口を開いた。
「あ、そうだ。来週の日曜日、バイト先の飲み会だから」
「…それ、この前聞いたよ?」
「え、うそ。言ったっけ?」
「うん。仲良くしてくれてた人が辞めるから顔出すんでしょ?」
「そうそう。あー俺言ってたんだ」
いつ言ったっけ。と首を傾げる俺を上目がちに見つめては、ふふ、と小さく笑う。その頰に指を滑らせながら再び口を動かした。
「これも言ったかもしんないけど、多分帰るの遅くなるから」
「うん。じゃあ、あのドラマ録画しとくね」
「…」
「次の日、いっしょに見よ」
まるで猫のように俺の胸元に擦り寄りながら少しくぐもった声を出す彼女は言わずもがな可愛い。
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