秘密事項:同僚と勢いで結婚した
紀香side
最近、親友の様子がおかしい。
「……李、最近寝不足?」
「…………いや、今日は解消されてる……はず…だ……………けど…」
なにこの間。
『今日は』?
話し方の歯切れは悪いし、顔色もあまりいいようには見えない。
「……もしかして…穂高となんかあった?」
「…………」
こりゃなんかあったわ。
この表情で何もないなんてあり得ないよ?
「……話したくないなら訊かないけど…。」
訊かない。
でも、私はひとつだけ忠告しよう。
「………李、鎖骨あたりにキスマークついてる」
「え!?」
瞳を大きくさせて異常な驚きを見せる。
この反応から推測するに、全く気付いてなかったんだろうな。
てか、気付かれないようにキスマーク付けるって…どんなテクニックよ?
(穂高、奴はやり手だな…。)
化粧直しするためにポーチを社食にたまたま持ち込んでいた私は李にコンシーラーを手渡した。コンシーラーをベタ塗りしないとカバーできない程にクッキリとついている痕に、苦笑いを浮かべてしまう。