秘密事項:同僚と勢いで結婚した
李side
信じられない。
見えるところにキスマーク付けた…?
家に帰ったらギャフンと言ってやる…。
とか思うけれど…。
(……ふわふわする…)
酔いしれて、胸の奥がきゅぅっと締まる。
ここに穂高くんの唇が触れて、吸われて。
私はかなりの変態だ。
「………」
でもいったいいつ?
いつ、こんな痕を付けたんだろう?
トイレの大きな鏡と睨めっこし、のっちゃんから借りたコンシーラーを塗ろうとキャップを外す。
(……待って。服にコンシーラーついちゃうかな。)
どうやって隠そうか試行錯誤を繰り返し、最終的に絆創膏に行き着く。逆に目立つのを避けるため、私は緩く束ねていた髪を下ろした。それから結び跡が残らないように軽く水で濡らす。
(…………うん…。なんとか…なった…?)
痕に心当たりがない私はその日、悶々としながら仕事を再開することになるのだった。