秘密事項:同僚と勢いで結婚した
幸せそうに眠る妻の首元には結婚指輪が華奢なチェーンに繋がれて光り輝く。
会社では他人にバレないように、長いネックレスとしてリングはブラウスの下に隠しながら身につけているらしい。
それを知った俺は会社でチェーンが控えめに見えると毎回毎回グッとくるわけだけども…。
(……寝ながらネックレスって…危ないよな…?)
きっとはずし忘れたんだろう。
首が締まったらどうするんだ。
最悪の事態を予想するとゾッとした俺は、葉山が起きないように細心の注意をはらって器用にネックレスを取った。
(……ちょっと赤くなってる)
言わんこっちゃない。
肌にくい込んで痛そうなネックレスの跡が残る。
早く治りますように。
なんて願いを込めながら、葉山の首筋に口付けをする。チェーンの跡を伝って下の方。
鎖骨付近にも…。
《ぢゅっ…》
本当に無意識だったんだ。
「……あ…」
やらかした。
これは確実に葉山に怒られる。
くっきりと存在を主張しているデコルテ付近のキスマーク。
仕事着を着て見えるか見えないか…際どい位置にある痕を見て、血の気がサァーっと引いていく。
「………」
明日の朝、謝って許してもらおうと考えた俺は居た堪れなくなったため、そそくさと葉山の部屋を後にした。