秘密事項:同僚と勢いで結婚した
千智side
こんなにも時の流れってゆっくりだったっけ?
なんていう疑問を抱く海外出張3日目。
スマホを握りしめて、返信内容を確認する。
『今日、のっちゃんとお寿司食べたよ!』
この文と同時に送られてきた写真は、空の皿が積み重なっているもの。
「っ…はは」
(普通、寿司撮って送るだろ…)
食べ終わった後の13枚の皿。
葉山は大食いな方だ。きっと一人で全部食べたんだろうな。
「………」
一呼吸おいてスマホの画面をタップする。
《プルルル…》
ワンコール過ぎた後…。
『もしもし?』
愛しい妻の声が聞こえてきた。
「今、時間平気?」
『大丈夫だよー』
久々に聞いた声はほんの少しだけ眠たそうだった。
「ほんの少しだけ。……葉山、寂しそうだったし」
『なにそれ。穂高くんの方が寂しそうじゃん』
「うん。寂しい。」
『っ………ばか…』
「うん」
知ってるよ。
葉山は元気がない時、たくさん食べる。
寂しそうな時、写真を送ることで気を引こうとする。