秘密事項:同僚と勢いで結婚した
「……なんか話して。ここ数日の葉山の近況報告」
『大したこと何もないけど………んー、あっ!そういえば昨日ね』
「うん」
ゆっくりまったり。
葉山の話した内容を一つ一つ耳に入れては頷く。
だんだんと饒舌になり、楽しい時間を過ごしていることが声音からわかった。
「思ったより元気そうで良かった」
『元気なさそうだった?』
「……心配かけないようにって…あんまり本音言ってくれないだろ。……俺にできることならワガママとか何でも言って欲しい」
『私、平気だよ。穂高くんが思ってるよりも弱くない。』
スマホを持ち替えて右耳から葉山の声を聞く。その声は芯があって、嘘偽りが無いことを主張していた。
『弱くないよ…。でも…………強いて言うなら…』
「うん」
『…………甘い言葉聞きたい…』
甘い言葉。何を言えばいいんだろう。
「なかなか抽象的なご要望だな」
『確かに』
「んー」
きっと、どんなに考えても同じ言葉しか出てこないと思う。
だから俺は真っ先に浮かんだ言葉を口にした。