秘密事項:同僚と勢いで結婚した
「…………………生理中…」
驚いた表情の彼の顔を見つめる。タイミングの悪さに項垂れた数日前の自分と同じ気持ちを味わっているであろう穂高くんに対して、仕方がないことなのに申し訳なさが募った。
だけど、その数秒後、穂高くんは私の頭を撫でて…。
「辛くない? 平気?」
「……」
優しい声音で言うのだ。
………ほんと、優しい人だな。
「……明日には終わりそうだから平気」
「そっか」
悲しい顔なんて一つもしないで私の唇にキスをする。それから頬をすり寄せつつ、耳元でゆっくり言葉を紡いだ。
「……俺の寝具の匂い嗅いで寂しさ紛らわしてたの?」
ぶわっと音がするような勢いで頬に熱を帯びる。変態じみた行動をしっかりと見られていた。
穂高くんは優しい。優しいけど私を揶揄うのが大好きだから…。
蒸し返すに決まってる。
「………俺のベッドで何…してたの?」
「…………うぬ…」
『うぬ』?
変な言葉に変な声。これじゃ動揺してますって言っているようなものだ。
「………」
たまには反撃だってしたい。
やられたままなんて絶対に嫌だ。
やられたらやり返すのが私の性格上とてもよくあっていること。
だから何か一発、ドドンと穂高くんの度肝を抜くような言葉を放って一泡吹かせたい。
と、思っていたんだけども…。
「…ほんと、李って俺のこと好きだね」
嬉しそうに、幸せそうに笑っている穂高くんを見ると、どうでも良くなってしまうから不思議だ。
「…………会いたかった…。」
「……うん。俺も。」
今日も甘い雰囲気が漂う中、唇を重ねた。