秘密事項:同僚と勢いで結婚した
(しまった!!!片想い設定…!!!)
特に私は拘(こだわ)ってはいないけれど、穂高くんと結婚するときにした契約の一つ。
今更その契約を守らないなんて選択をするのは間違っている。
「えっと!!その…!!」
「穂高……お前…とうとう…」
「うん。報われたっぽい。」
会社内で両想いってことを知っているのは私の親友のっちゃんだけ。このことを口が軽い橋本くんに言うというのは(正確にはバレるということは)会社全体に知られるということ。
「俺、次はプロポーズしようかな?」
楽しそうに上機嫌な感じで穂高くんは言う。
「え!!結婚?!」
「待っ…! 橋本くん声大きい!」
始業チャイム前、ざわめいている廊下。
よりによって一番人通りが多い主要な廊下。
「……え、穂高と葉山結婚?」
「マジで!? 穂高、とうとう葉山を口説き落とした!?」
遠くから聞こえてくる橋本くんに負けない大きな声の上司たちの言葉。
(あぁー…これは……私…どうしたら…?)
助けを求めるように既に結婚している夫の方を向くと、目が合った。