秘密事項:同僚と勢いで結婚した
千智side
どうやら、いつだって俺たちは『勢い』で進んでいくらしい。
祝福ムードが漂う廊下で、妻は焦った様子で俺の顔を見てきた。
この状況を利用しないのは勿体無い。
今日で片想い設定を会社に持ち込んでから約6ヶ月…。つまりは半年ほど貫いてきた。
そろそろ良い頃合だろう。
「葉山、俺と結婚する?」
「……何言ってるの? 穂高くんったら」
ネタだと思ってる奥さんを、どうやって落とそうか。
「………俺、葉山とだったら円満な家庭が築ける自信があるんだよね」
お叱りは後でたっぷり受けるから…。
「…………俺と結婚してください」
余裕ぶっててもありふれたプロポーズの言葉しか浮かばなくて、場所は会社の廊下で、いつだって『勢い』が先行して…。
こんなにも格好付かない夫ですが…
「李のこと、一生大事にする権利を俺にください」
「………はい…」
常に愛情を注ぎ続けることに関しての自信は誰にも負けない。
会社での秘密事項『結婚している』ということは、今日から公然事項へと変わった。