秘密事項:同僚と勢いで結婚した

千智side



どうやら、いつだって俺たちは『勢い』で進んでいくらしい。









祝福ムードが漂う廊下で、妻は焦った様子で俺の顔を見てきた。

この状況を利用しないのは勿体無い。

今日で片想い設定を会社に持ち込んでから約6ヶ月…。つまりは半年ほど貫いてきた。

そろそろ良い頃合だろう。


「葉山、俺と結婚する?」

「……何言ってるの? 穂高くんったら」


ネタだと思ってる奥さんを、どうやって落とそうか。


「………俺、葉山とだったら円満な家庭が築ける自信があるんだよね」


お叱りは後でたっぷり受けるから…。


「…………俺と結婚してください」


余裕ぶっててもありふれたプロポーズの言葉しか浮かばなくて、場所は会社の廊下で、いつだって『勢い』が先行して…。




こんなにも格好付かない夫ですが…




「李のこと、一生大事にする権利を俺にください」


「………はい…」



常に愛情を注ぎ続けることに関しての自信は誰にも負けない。



会社での秘密事項『結婚している』ということは、今日から公然事項へと変わった。


< 125 / 137 >

この作品をシェア

pagetop