秘密事項:同僚と勢いで結婚した


「李…くすぐったい…」

「ん…きもちくない?」

「……ノーコメントで…」


ガバッと勢いよく彼は起き上がると、私の服をたくし上げる。


「……全部脱がすよ」

「千智も…」

「うん」


器用に身を纏う布を全て取っ払い、肌同士を触れ合わせる。

相手の体温を感じるというのは、とても心地良くて頭がボーッとした。


「………千智だからだね」

「何が?」

「千智だから……こんなにも幸せ…」


触る手は常に優しい。色んな場所を舐める舌は柔らかくて気持ちがいい。

向けられる視線は何処までも温かくて擽ったい。

胸の内で感じるのは多幸感と高揚ばかり。


「……李…」


名前を呼ぶ声は甘酸っぱくて…。


「泣くなよ」


涙が溢れるほどに色濃く刻まれる。


「千智…好き…。愛してる…」


涙が浮かぶ目尻に唇を這わせ、フッと柔和な雰囲気を纏って笑った。


ただひたすらに愛されるような愛撫を経て、ぎらぎらと欲情した視線を向けて…


「ごめん……もう我慢できそうにない…」
< 128 / 137 >

この作品をシェア

pagetop