秘密事項:同僚と勢いで結婚した
契約の追加項目
李side
同僚と勢いで結婚して、初めてキスをした日から一夜明けた今日はお休みの日。
「んっ、うまい。」
「ナスとエノキの味噌汁好きなんだよね」
朝から『家庭的な嫁感』を出して朝食を振る舞うのには理由がある。
それは、何かしていないと落ち着かなかったからだ。
「……葉山の料理、好きだよ。この前作ってくれた煮物も美味しかった」
「ほっほんと? 作った甲斐あるよ!」
早朝、すぐに目が覚めてしまった休日。せっかくの休みは遅くまで寝ていたかったのに、自然と頭が冴えるのだから何度か寝返りをうったところで起きた。
それから穂高くんが起きてきてご飯を食べるまでの間、私は洗濯や掃除、朝食作りに取り掛かった。
我ながら効率良く進めた家事を一通り終えて、空腹が限界を達した私は穂高くんが起きるのを待たずに食事を済ましてしまう。
味噌汁、焼鮭、野菜炒めはどれも美味しくて『これなら食卓に出して大丈夫』と自信を持ってテーブルに並べた。
「もしかして今日、かなり早く起きた?」
「ん?なんで?」
「部屋片付いてるし、洗濯物干してあるから…家事、朝のうちにやったのかなって」
「うん。気が向いたから」
変に意識しているのは自覚している。朝の挨拶を交わしてから今まで、一度も穂高くんの表情を直視できないでいた。