秘密事項:同僚と勢いで結婚した
間違いないと思う。
白石さんの言う通り、割と周りから見てわかりやすかったかもしれない。
気づいていないのはきっと鈍感な葉山くらいだ。
「……葉山さんと上手くいくと良いですね! 貴重な休憩時間にお話し聞いてくださり、ありがとうございました!」
「こちらこそありがとう。嬉しかった。」
無理に明るい顔をして、一度お辞儀した白石さんは資料室を去っていく。
きっともっと良い断り方が出来たはずだ。
なんていう罪悪感を感じながら、俺も資料室から出ようとドアノブに手をかけた。
お昼を軽く済ませたらクライアント先へ出なければならない。
割と今日は忙しい。
残りの激務にため息が出そうになりつつ、ドアを開けた。
《ガチャッ》
「え…」
「………葉山…?」
廊下に出ると壁に寄り掛かっている葉山の姿を見つけた。