秘密事項:同僚と勢いで結婚した


(まさかさっきの聞かれて…)


変にドキドキと動機を激しくさせながら、俺は葉山に問う。


「どうかした?」

「…領収書もらいにきた」

「あぁ、デスクの上にあるから後で会社出る前に経理部寄るよ。」

「そう。…わかった。」


いつもと様子がおかしい気がした。
にこにこ笑っているのが取り柄みたいなところがあるのに今の葉山はヤケに静かだ。


(…具合でも悪い?)


俯いてばかりいて動きが不自然だ。


「風邪ひいた?」


心配になった。
最近熱いとはいえ、家の中で薄着でいるし。そのくせエアコンはガンガンに効いてるし。

無意識に手が伸び、指先で額を触れると少し熱かった。


「…熱?」

「熱じゃない…」

「……んー、でも熱いけど…」

「………穂高くんのせいだよ…」


(俺、何かしたっけ?)


頭の中で今日の葉山とのやり取りを振り返る。家では普通に接していたし、今日仕事場で会ったのはこれが初だ。


「………」


ずっと下を向かれていると戸惑ってしまう。

午後から仕事に忙殺されること間違いないから、少しでも葉山の顔を見て元気をチャージしたいのに。
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