秘密事項:同僚と勢いで結婚した
帰り道、もしも話
李side
「仕事終わったよ」
「ん、お疲れ様」
長きにわたる残業を終え、時刻は夜の20時半。お腹はペコペコで、よく聞く『お腹と背中がくっつきそう』な状態だった。
「お腹すいたー…」
「買って帰る?」
「うん。その方が楽だよね〜。」
好きなお惣菜を買って、ご飯はレンジでチンしよう。食べて風呂入って寝て…。
自分の娯楽の時間はきっとないな、と時計を見て思った。
「お惣菜値引きされてるかなぁ」
「ふっ…そういう倹約家なところ、結婚してよかったなって思うよ」
「ちょっ…ここ会社なのに…誰かに聞かれたらどうするの…?」
「『そういう倹約家な葉山と結婚したい』な〜」
わざとらしく大きな声で言う。こんな遅い時間まで残業しているのは私くらいで、それを待ってた穂高くんの2人しかいない。
強いて言えば警備の人がいるが、見渡す限り私たち以外誰もいなかった。