秘密事項:同僚と勢いで結婚した
「……遅くまで待っててくれなくても良かったのに。先に帰ってくれれば穂高くん、ゆっくりできたでしょ?」
「葉山が痴漢に襲われたら責任感じるし、夜道は一緒に歩いて帰ろうと思って」
「いやいや、私が痴漢に襲われるわけないじゃん」
変なところで過保護というか何というか。
意外と心配性なんだなぁ、とか思いながら廊下を歩いていると、ボソッと穂高くんは言う。
「俺が痴漢だったら葉山を襲うかな。」
「はっ?」
「冗談だって。引くなよ。」
苦笑いを穂高くんは浮かべ、胸の前で右手をナイナイと左右に振った。
「ほらね。相当なモノ好きがいなきゃ絶対に…」
「でも、俺以外の人が葉山を触るなんて絶対に嫌だ。」
「っ……」
何を言っているんだろう。ピタリと足を止めて振り返ると、真剣な表情を見せる彼と目が合った。