秘密事項:同僚と勢いで結婚した
許されるのならいつまでも。
千智side
葉山のことを気になり出したのは、『いつ』とかわからない。本当に自然と、無意識に眼で追っていた。
一緒にいたら楽しいし、話す時、目尻が下がって口角が上がる表情が好きだ。
葉山と仲良くなったのは、入社して数ヶ月後に行われたパーティーがきっかけだった。
(色んな人に話しかけよう)
そう意気込んで臨んだ社員パーティーは立食形式で、女性は綺麗なドレスを、男性はスーツでカッチリとキメている。
コミュニケーション能力は長けている方だと思う。
一通りの人と(多少は話せなかった人もいたとは思うけど)会話をし、新生活に心を踊らせた状態で、そのパーティーも終盤に差し掛かった頃。
(あと話してない人は……)
事前に頭の中に入れていた名簿を確認しながら周囲を見渡すと、紺色のドレスを着て愛想よく上司と話す同期を見つけた。
『葉山 李』
脳内の名簿で未だ話せてない同期は彼女だけ。
(葉山さんが話し終わったらサクッと話しかけて…今日の目標達成かなぁ)
その時の俺は本当に呑気だった。
どうして呑気かと言うと、彼女に話しかける人が後を経たなかったからだ。
そして立食パーティー中、最後まで話しかけられず…。
同期会に突入した。