秘密事項:同僚と勢いで結婚した
「もーもーちゃん!あーそーぼ!」
元気な声が聞こえて来る。
その方向に目をやると6人の子供が縁側付近で、ぴょんぴょん跳ねて葉山を呼び出していた。
「わ!久しぶり!」
近所の子供かなと推測していると、
「李が帰ってきたって聞いたら会いたいって仕方なかったらしくて。李、毎回帰省するたびに近所の幼い子と公園で遊ぶの。」
と、葉山のお母さんが言う。
「千智くん、今日は李のこと独り占めできないかもね〜」
なんて言うふうに和かに話すお母さんと、俺は頂いたお茶を一口飲み、葉山から視線を逸らすことなく会話を続ける。
「誰にでも好かれて、優しくて…。そういうところが昔から…」
「ほんと、千智くんって李のことが好きなのね」
「っ…顔に出てますか?」
「ええ。」
「李のこと見てる時、いつも柔らかい表情するの」
頬が緩んでいる自覚はあった。それを他人の、しかも葉山のお母さんに指摘されるのはかなり恥ずかしい。
「……李、良い旦那さん見つけたね。私もお父さんも柚も、安心だわぁ」
許されるのならいつまでも。
「……大切にします。李に鬱陶しいって思われるくらいに」