秘密事項:同僚と勢いで結婚した
昼休憩、社食で

李side


「えっ! 李、婚約破棄されたの!?」

「うん。『された』っていうか『した』。」


社内一、同性で仲の良い同期、『相田 紀香(あいだ のりか)』こと、のっちゃんに私は話す。


「なんで? 酷いことでもされた?」

「うん。浮気。」

「うわぁ……ないわぁ…」


社食で頼んだ野菜炒め定食を食べながら話す。低コストかつ量が沢山な野菜炒め定食は、鶏ガラが効いていて午後の活動のエネルギー源。こうやってモリモリ食べる私には色気がないと元カレに言われたことを思い出した。


「……李が結婚するって聞いて、自分のことのように嬉しかったんだけどなぁ…」

「なんか、凄い祝ってもらったのに…ごめんね」

「ううん…! 内心、結婚する前にクズって知れてよかったじゃん!」


ノリ良く話せるのっちゃんとはインターンシップからの仲で、同じ経理部に配属になった時は大喜びしたのを覚えている。


(のっちゃんと食べるお昼ご飯ってなんでこんなに美味しく感じるんだろう)


頼りになるお姉さん系。いつでもどんな内容でも話に花が咲く。大切な友人だ。


「……失恋…辛いよね…。………よし!」

「?」

「こうなったら次の恋だよね! 私、良い人知ってるよ! 紹介しようか!」


全く予想してなかった。

なんて伝えよう。

大切な友人を欺くことなど絶対にしたくない。
けど、契約の一部『社内にはなるべく結婚したことを言わない』というのを破るわけにもいかず…。
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