秘密事項:同僚と勢いで結婚した
同期会の帰り、抑えが効かなくなってエレベーターの中だというのにキスした。
『防犯カメラ』とか、『誰かが乗ってくるかも』とか、そんなことはどうでもいい。
無我夢中で唇をくっつけて…。
舌入れたくて何度も口を開きかけたけど、『未だに片想いかもしれない』なんて思ったら恐れ多くて。
たくさん普通のキスしてるくせに、何が恐れ多いんだか。
情けない。
自己嫌悪するけれど、部屋についても歯止めが効かずに繰り返してしまう。
そうして口付けに没頭していると…。
「っ……」
葉山は涙を流し始めた。
後悔ばかりが身を襲う。『ごめん』と謝ったって満足できなくて、葉山の涙は止まらなくて、慌てふためく。
(あぁ…そっか…。やっぱり…)
葉山は俺のこと好きじゃないんだ。
憶測? 勘違い?
いや、そうじゃない。
これは確信だ。
「……泣かせてごめん…」
もう一度謝り、彼女を落ち着かせようと次に紡ぐ言葉を考えていると…
襟元を掴まれ、前に引っ張られた。
「んっ…はや、ま……っ!?」
深くて大人なアルコールが香る口付けをする。