秘密事項:同僚と勢いで結婚した
紀香side
大親友・李が元カレに浮気されて婚約を破棄したって聞いたら、いてもたってもいられなくなった。
(こんな可愛い李がいるのに他の女に手を出すとか最低だな! これだから男って生き物は…!)
李は心配かけないように何気ない表情を作るのが上手い。そんな李だからこそ、辛い想いを人一倍して欲しくないと思ってしまうのは勝手に姉御的な考え方を抱いてしまった故なんだけど…。
「……失恋…辛いよね…。………よし!」
「?」
「こうなったら次の恋だよね! 私、良い人知ってるよ! 紹介しようか!」
そうだ。私の信用している男友達なら安心だ。李と気が合いそうな人を選んで紹介すれば、李は幸せになる。
我ながらナイスアイディアだ。
李には笑って過ごしてほしいから、幸せになってほしいから、私がひと肌脱ごう。
なんていうとても自分本意な提案をした後、気づくことになる。
「他の男の紹介とかしなくていいよ」
穂高が李の頭を撫でながら、そう言う。
(ん?なんで穂高がそんなこと…)
薄々勘づいてはいたけど…。私は勘が鋭い方で、特に男女のゴタゴタに巻き込まれることを回避したいと思っていたから周りはよく見ていた。
「俺、今必死になって葉山のこと口説いてる最中だから相田は見守ってて」
今の穂高の表情を、李に見せてあげたい。
(余裕なさそうに真っ赤になって…。李のこと大好きなんだなぁ…)
「そっか。ファイトー穂高〜。穂高なら安心して任せられる」
「ありがとう」
李も満更でもなさそうな顔で俯いてる。
そうかぁ。穂高と李が…ふ〜ん。
私は黙ったまま、2人を楽しく観察させていただくとしましょうか。