秘密事項:同僚と勢いで結婚した
お風呂から上がり、穂高くんの部屋の前。
深呼吸を繰り返して心を落ち着かせていく。
《コンコンコン》
律儀にノックをして中からの声を待つと、『どうぞ』という言葉が耳に届いた。
「お邪魔します…」
「うん」
もう後戻りはできない。ラベンダー色のシースルーのネグリジェは心許ないけれど、悲観的な考えは一切浮かばなかった。
「……穂高くん、顔真っ赤」
「……愛しい妻を抱くんだから正当な反応だろ…」
夫は今日も私を溺愛しているらしい。
「……こっち来て」
「うん」
ベッドに腰掛ける穂高くんの前に立つと、手首を掴まれて倒れた。
「……この体勢は…私が襲ってるみたい…」
穂高くんを組み敷いて、身体の距離が0になったところでキスされる。軽く触れ合わせるだけのキスは擽ったくて、いとも簡単に感じてしまった。
「……起きようか?」
「うん。」
起き上がり、そのまま向かい合わせになった状態で私は彼の膝の上に座る。緊張が胸中でいっぱいになり、視線を交わらせれば自然と惹かれて唇を何度も重ねた。