女子高生に恋する高校教師の話
「では朝のホームルームは終わりです。一限の授業用意をしておいて下さいね」
僕はトントン、と学級日誌を教卓で軽く揃えながら言った。
起立、礼、着席。
職員室に戻ろうと、教室の引き戸に手をかけた。
すると、先生~、と背後から声がかかる。ドキリとして振り返ると、そこには茶髪の女子生徒がいた。声があの子に少し似ている。
しかし、あの子は黒髪だし、こんなにスカートは短くなかった。
「因数分解の質問いいー?」
「いいですよ」
僕はまだ、五年前の生徒の面影を追っている。