呼吸と鼓動
立ちくらみ

大翔side

病院の受付ロビーの待ち合い室を歩いていると、バタッという音と共に誰かが倒れるのが視界に入った。

普段なら近くの看護師に任せてその場を立ち去るだろうが、その時はなんとなく気になった。


近づいて顔を覗き込む。


「葵ちゃん…?

怪我してない?」


待合室の椅子に座らせてブラウスの袖のボタンを外して脈を取る。下まぶたを捲る。


「これ見てて」

胸ポケットからペンを取り出して目で追わせる。


「大丈夫そうだね。

急に立ち上がると今みたいになることがあるからゆっくりね。

気をつけて帰るんだよ」
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