呼吸と鼓動

悠貴side

数日経ったある日。

僕はまだ自分の病気のことを葵に伝えられずにいた。



「ねぇ葵」


「なにー?」


「聞いてほしい話がある」



こちらに向き直す葵。


手のひらに汗をかく。口が乾燥する。自分でも緊張しているのがわかった。


ふーっと息を吐いて覚悟を決める。



「僕、実は病気なんだ」


相槌をつきながら静かに聞いてくれる。



「それでお願いがあるんだけど…」



発作が起きたらどうしてほしいかも事細かに伝えた。



「もし僕がしゃべれないくらいだったら代わりに病院に電話してほしい。

それ以外は余裕があったらで構わないから」



「わかったよ」



「そうならないように気を付けるから。

あとずっと隠しててごめん」



「気づいてた。病気とは知らなかったけど」



「そうなの?」



「あの日私も朝から体調悪かったの。

でも悠貴しんどそうだったから言えなかった」



確かにいつも葵の体調が悪そうじゃないか観察するのにあの日は自分のことで精一杯でそこまで気が回らなかった。



「ごめん…」



僕のせいで葵は辛い思いをすることになった。


「悠貴が謝ることじゃない。私がちゃんと伝えればよかった」
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