呼吸と鼓動
低血圧

悠貴side

ある日の朝。

「おはよう。調子悪いの?」


自分で部屋の引き出しから家庭用血圧計を取り出して測定している。


ディスプレイを覗き込む。


「これはしんどいな」


「んー、だるい」


「学校休む?」


「行く。動けばきっとマシになるから大丈夫」


「無理しないでね」



隣で支えてリビングまで連れて行きソファに座らせる。ふらふらで倒れないか心配だ。

焼きたての鮭をお皿に盛り付けてごはんと味噌汁をよそってソファの前のローテーブルに並べる。


「ふりかけかける?塩分摂ってほしい」



「ごちそうさま」


「ちゃんと食べれたね」


しっかり食べてくれればまあ安心だ。


食べ終えた食器を洗いながら葵に目を向ける。


「よいしょ」


「葵さっきから"よいしょ"ばっかり言ってるよ」


「体が重たい」


ゆっくりとしたスピードで身支度をしている。


自分も歯磨きをして支度をする。


「学校まで車で送ってくよ」


「はぁ…」


助手席でため息をつく葵。


「苦しいの?呼吸浅くなってるから意識して深呼吸して」


校門の前に車を停車させる。


「よいしょ」


助手席から降りてカバンを背負う。


「送ってくれてありがとう。いってきます」


「いってらっしゃい」
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