呼吸と鼓動
クリスマス

悠貴side

クリスマス

初めての2人きりで過ごすクリスマス。


今日くらいは早く帰って一緒に過ごそうと思ったけど結局残業。

街は賑わいを見せている。

予約したケーキとチキンを買って家に帰る。


「ただいま、遅くなってごめん」



家に付いてリビングの扉を開けるとテーブルに伏せて寝てしまっている葵。

週末に2人で飾り付けたツリーのLEDライトがピカピカと光っている。

ダイニングテーブルにはクロスが敷かれていてお皿やグラスがきれいに並べられている。


「おかえり」

「ただいま。遅くなってごめんね」

「大丈夫だよ」

「スーツ着替えてくるからちょっと待ってて」


戻ってくると買ってきたケーキを葵が箱から出してくれている。

向かい合ってテーブルに座る。

グラスに飲み物を注ぐ。僕はワイン、葵にはリンゴジュースを。



「写真撮ろ!」


僕の横に来て高さを合わせるようにかがむ葵。

肩を抱き寄せて頭をくっつける。


「後で送ってね」


「もちろん」




「「乾杯」」


ワインを口にしてケーキを頬張る。

少し食べ進めたところで用意したプレゼントを取り出す。


「はいどうぞ」


紙袋を手渡す。


「私も準備したの!」


クリスマスプレゼントを交換する。


「開けていい?」


ニッコニコの葵。


「じゃあ一緒に開ける?」


「うん!」




包み紙を開ける。

僕はネックレスを選んだ。



「わー!かわいい!ありがとう」


「マフラー?」


「うん、高いものは買えなかったけど」


「嬉しい…ありがとう」



目頭に熱いものがこみ上げる。



「え…泣いてるの?」



笑いながらそういう葵。


「だって、なんか感極まっちゃって」


「はいどうぞ」


席を立ってティッシュを渡してくれる。


「おいで」


ぎゅーっと抱きしめる。葵も静かに抱きしめ返してくれる。


「葵?」


「何?」


「僕と付き合ってもらえませんか?」



恋人のような距離感だけど、ちゃんと口にしたことはなかった。

気持ちを伝えたらこの関係性が壊れてしまうんじゃないかって怖かった。



「喜んで。でも私なんかでいいの?」


「もちろん」


「悠貴にとってはただの同居人なんじゃないかって思ってた」


「そんなわけない。大好きだよ」



たくさん写真を撮ってたくさんおしゃべりして。とても幸せな時間を過ごした。

明日からまた仕事頑張れそう。
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