呼吸と鼓動

大翔side

心電図の結果は問題ない。


「胸の音聞くね。

…うん、大丈夫だよ。心配ない。

おそらく期外収縮ってやつだね。

不整脈の薬を使うと別の厄介な不整脈が出てきちゃう可能性があるから、使える薬はないんだけど、生死に関わることは絶対にないからあんまり気にしないこと。

悠貴の心臓発作目の前で見てたから怖くなっちゃうよね。大丈夫、あれは別物だから。

もういいよ。お大事に」


「ありがとうございました」

「ありがとう」


「ちょっと待て。あなたもついでに、ね。

葵ちゃん待合室で待ってて」



葵ちゃんを見送って悠貴に向き合う。


「あなたの方が心配。顔色悪いよ。

診察するからベッド寝て」



胸に聴診器を当てる。



「薬変更する?」

「今のままでいい」

「充分に効いてないよ。心臓に負担かけてる」

「反論できないな。

実はこの前会議中に苦しくなって冷や汗止まらなくて焦った」

「こっちの薬に変更してみよう。

また明日出勤でしょ。家帰ってゆっくり休みな」
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