呼吸と鼓動
そして未来へ
悠貴side
卒業式を終えて数日後のこと。
薬をやめて1ヶ月が経った。
葵の喘息は劇的に改善した。
「検査の数値も正常範囲だし、定期検診は今日で最後ね」
「本当!?」
「おめでとう」
診察室で抱きしめ合う。
「今夜はお祝いだね。家でごちそう作って待ってる!」
そういうことってあまり自分からは言わない気がするんだけどなw まぁいいや。
「うん、楽しみにしてる。じゃあまた後でね」
低血圧や低血糖、元々あったアレルギーも改善して普通の人より健康なのでは?と思うほど。笑
僕の病気も良くなった。
手術をしないと治らないと言われていたけれど、薬も全てやめることができた。
大翔から言われたのは
"医者やってるとこういう奇跡ってたまにあるんだよな。葵ちゃんの存在のおかげじゃない?"と。
生きることに無気力だった。激務でなんとなく過ぎていく毎日。
でも葵に出会ってからの日々は毎日が特別になった。
葵を支える為に僕がしっかりしなくてはと思うようになった。
これまでたくさんの試練を乗り越えて来た。人の何倍も我慢して苦労して生きてきたと思う。
"身体さえ健康ならば何でもできる"
本当の意味でそれがわかる僕たちだから。
一日一日を大切にこれからの人生思いっきり楽しもう。
葵は元気になってから表情も明るくなった。笑顔も増えた。
控えめでおとなしい葵しか見たことがなかったけれど、本来はこんなに明るくて活動的な子だったのかと。
元気そうな葵を見るのが何より嬉しかった。
でも前にも増して魅力的になって、他の男の子に取られちゃうんじゃないかって少し心配しているんだよ。
でもこれだけは言わせて。
葵を好きな気持ちは誰にも負けない。誰にも譲ったりしない。
必ず僕がプロポーズするから待っててね。
完