呼吸と鼓動
翌日。


「胃の調子悪くなっちゃった?

経口じゃなくても副作用出ることあるからね。身体が弱ってるから影響受けちゃったかな」


「昨日何回投与した?」


横に付いてくれている看護師に確認する。


「昨日は眠れた?」


「あんまり…」


ずっと顔をしかめて口呼吸している。


「今も痛い?」


咳が長引くと骨折することもあるけどまだ若くて骨もしっかりしてるはずだから考えにくい。

やはり可能性が高いのは肋間神経痛。だとすると不安から来る要素も大きいかもしれない。


「痛み止め準備してもらっていい?」


電子カルテの空欄に"生理食塩水で"と入力して看護師に見せる。

既にステロイドを投与しているから身体の負担を考えるとこれ以上強い薬を使うのは避けたい。

プラセボでどこまで効果があるかわからないがとりあえずやってみよう。



「胃腸の影響はないけど眠気が出るかも。効果の立ち上がりがいい薬だからすぐ効いてくるからね。

息吸うの辛かったら無理してたくさん吸わなくていいからゆっくり吐くの意識してみて。呼吸が自然と深くなるから」



右手を優しく握って安心感を与える。



「眠くなってきちゃった?眠れそうなら寝ちゃいな」

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