ずっとずっと、そばにいる

寝不足のせいか、うっすら眠くなってきて、私は曖昧な返事をした。

「まじかよ?男?女!?カワイー子がいいなぁ」

雅人の言うことは完全に無視した。

あぁ、もうだめだ。

転校生への興味よりも眠気の方が勝ってしまって、私は机に伏せた。

「ちょっと芽穂!起きて!」

「うーん…なによー」

今ちょうど気持ちの良いところだったのに。

「めっちゃイケメンだよ!転校生!」

そんな沙織の言葉に、ふと顔を上げる。



でも、目の前の光景に、私は言葉を失った。



眠気なんて、一気に吹っ飛んだ。



「ども、東京の高校から家の事情でこっちに編入してきました、澤本駿(サワモト シュン)です。」



色素の薄い茶色の髪。長めの細い前髪からのぞく切れ長の瞳。

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