ずっとずっと、そばにいる

まだ幼い私には、父の死が理解出来なかった。

でも、隣の部屋で、

「もう二度とお父さんに会えないんだねっ…」

って、母が泣きながらおばさんと話しているのを聞いたとき、すごく悲しくなったのを、覚えている。

その時、初めて大切な人を失う悲しみを知ったんだ。



訳もわからない、悲しさだった。



耐えられなくて、泣いて泣いて、泣きまくった。

そんな私を助けてくれた人がいたんだ。

それが、駿だった。

駿は、私の家の隣に住んでいた、私と同い年の男の子で、よく一緒に遊んでた思い出がある。

彼は、訳もわからない悲しみに泣いていた私の頭を、ポンポンとなでてくれた。

そして、こう言ったんだ。

「芽穂のお父さんの代わりに、僕が芽穂の事守るよ。そしたら、もうそんな悲しい思いをしなくてすむから。だからね、もう泣かないで」

「…ぐずっ、ほんと？」

「うん。ほんとう」