ずっとずっと、そばにいる
私はこの人に守られているから大丈夫だって、何も怖くないって。
心の底からそう思えた。
…それなのに。
駿は、私のことを裏切った。
それを知らされたのは、中学校に上がる前の冬。
「芽穂に大事な話があるんだ」
それは、あまりにも唐突で。
「どうしたの?」
あまりにも、衝撃的だった。
「俺、東京に引っ越す」
初めは、信じられなかったんだ。
いつもすぐそばにいて、そこにいるのが当たり前だったから。
彼がいることによって、私はあの家で暮らすことが耐えられた。
でも、そんな彼がいなくなったら?
もう私を助けてくれる人はどこにもいない。