ずっとずっと、そばにいる
おばあちゃんが出してくれたのは、暑い季節に丁度いい、ざるそばだった。
「今の時代は便利だねぇ、水で流すだけでおそばができるなんて。スイスイ麺だったかしら」
「おばぁちゃん、それ流水麺だよ」
なんて、他愛もない会話をしながら、私はそばをツルツルとすすった。
おばあちゃんと過ごす時間だけが、私の心の支えだった。
「いつもごめんね、おばあちゃん」
「良いんだよ、芽穂ちゃんと一緒にいられておばあちゃんも楽しいんだよ」
自分の居場所が見いだせず、誰にも頼ることが出来なかった私にとって、祖母と過ごす時間は、唯一の憩いの時間だった。
それから、中学校を卒業して、高校に入学した。
唯一の心の拠り所だったおばあちゃんは病気で入院してしまった。
そしてあの家に耐えられなくなった私は、必死で学校とバイトを両立させて一人暮らしして。
あいつのせいで、私は……。