ずっとずっと、そばにいる

現実逃避と言っては聞こえが悪いが、今の自分とは別の自分になれるような、そんな感覚だ。

そして今日も誰もいない図書室で、一人本棚を眺めていた。

「今日は何借りよーかな」

なんて、独り言を呟いていた時だった。



「芽穂」



いきなり、背後から声が聞こえたのは。




朝から、出来るだけアイツとは目を合わせないようにしていた。

絶対に関わるもんかって、相手になんかしてやらないって、心に決めていた。




だけど、今目の前には、そう心に決めていた相手の張本人がいる。

「お前…今日一日ずっと、俺のこと避けてたろ」

「…」

「おい、芽穂っ」

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