ずっとずっと、そばにいる

金属製の階段だから、激しく上ろうものなら金属音が響いて、住民に迷惑をかけかねない。

階段を上りきったところで一息つき、バッグから部屋の鍵を取り出した。

数少ない電灯の下で手探りに鍵を差し込んで、ゆっくりと時計回りに半分回す。

カチャ、という音とともに私はドアノブを回して手前に引いた。

ほんの少しポプリが香る真っ暗な部屋の中に足を踏み入れ、ドアを閉めたところで内側から鍵をかける。

夜は少し怖いから、鍵をかけた直後にドアノブを回してみて、開かなくなったことを確認してから玄関の明かりを灯した。

「ただいまー」

自分自身と家に向けて小さく呟く。

...だめだ、眠すぎる。

本当なら今から洗濯機を回して、その間にお風呂に入りたいところなのだが。

今の私には、もうそんな気力が残っていなかった。

テレビの横にバッグを力なく落とした後、倒れ込むように布団に転がり込み、そのまま眠りについた。




< 36 / 60 >

この作品をシェア

pagetop