ずっとずっと、そばにいる
昨日はアラームをかけ忘れていたのに、朝の起きるべき時間に起きることができたなんて、とても素晴らしい。
だけど、人はいつも通りの睡眠時間が1時間でも短くなるだけで、相当な負担が体にかかるのだと私は実感した。
骨がボキボキ鳴るんじゃないかというほど硬い体を不器用に動かして、洗面所へ向かう。
アラームをかけて明日のためにと早く寝た日にかぎって寝坊するのはなぜなのだろうか。
なんてことを考えながら私はサッとシャワーを浴びた。
いつも慌てて行う身支度も、朝に時間があるとゆっくり行える。
ただ、こうして静かな朝だと考えてしまうことが一つだけあった。
どうして自分には『おはよう』と言える家族がいないのだろうと思えてきてしまう、ということ。
私はそれによって、胸が張り裂けそうになるくらい、苦しくなる。
……自分から家庭を逃げ出したのは分かってる。
でも、それは昔からだった。
お父さんが死んでしまったあの日から、あの家では誰も、『おはよう』なんて言ってくれない。
普通の家庭だったら、毎朝おはようって微笑み合ったり、夜にはおやすみって言ったりするのだろうか。