ずっとずっと、そばにいる

沙織は唯一、毎日学校とバイトに明け暮れている私の状況を知っている存在だからだ。

私はそんな沙織にありがとう、と言ってからお腹が空いたーというジェスチャーをして見せた。


「あーい席つけー」

そう言って入ってきたのは2-1担任の山田秋彦先生だ。

ここは田舎の高校で偏差値も低いため、生徒数が少ない。

私達の代は特に少なく、クラスは1つしか無いものだから、学年が上がろうともクラス替えが行われることは無い。

ついでに先生達の入れ替えもそんな頻繁には出来ないから担任も変わらない。

進級したところで、他の学校では当たり前の事が何一つ起こらないからつまらない。



でも、この日だけは、違ったんだ。



「今日はー、皆に転校生の紹介だー」

山田先生がまるメガネをカチャリと動かしながら言った。

「え、転校生?テンション上がる!」

「うーん…」

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