夜色、線香花火
夜が似合う、ずるいひと
「だからおれは、シンタロじゃないって」
「うん、わかった、シンタロ」
「だあー!!!」
あたしと慎太郎は、こういう仲。
中学からずっと同じクラスの腐れ縁だし、名前くらい覚えているんだけど。
あたしだけがこうやって呼ぶから。
こうやって呼ぶと、慎太郎はあたしだとわかって、嬉しそうに振り向くから。
慎太郎、ほんとのところではいやがってないから。
「シンタロ、夜が似合うよね」
今日もそれにあまえて、笑って、ふたりで夜を歩く。
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