夜色、線香花火


「願いごとをした状態で、燃え尽きるまで落ちなかったら。……叶うんだよ」


「ねえ」


それを言うってことは。それを知っていたってことは。


「慎太郎、願いごとしたの?」

「したよ」

「なんて?」

「言ったら叶わないじゃん」


あたし、もう、ふざけてシンタロなんて呼べないな。


「落ちたんだから、言ったって同じじゃん」

「まあたしかに」


目が合う。

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