あの夏の隣で、ただ
第1章 〜君といた場所〜
一筋の光
【2012年 5月中旬 Side:蒼汰】
キーンコーンカーンコーン……
帰りの会の終わりを告げるチャイムと共に、僕のいる1年B組の教室からは、生徒たちが次々に廊下へと出ていく。
……放課後何をするか。一緒に帰らないか。今日の部活の練習内容は何か。
そんな皆の会話が、あちこちを飛び交う。
まだ新品のグローブを手にした男子。
楽器と思われる何かのケースを持った女子。
体操服に着替えて駆け出す男子。
手にした大きな袋の端からラケットの持ち手を覗かせる女子。
────皆、それぞれの部活へと向かう放課後。
そんな中、僕は一人ため息をつきながら、一人とぼとぼと教室を出ていく。
中学校に入学してから、1ヶ月近くが経った。
新しい環境にも慣れて、それぞれの部活での1年生の活動も本格化してきて、ここにいる1年生たちは皆、どこか輝いて見える。
────だけど、僕はそんな風にはなれない。
僕だって、他の生徒たちみたいに、この学校生活を楽しんで、何かに打ち込んで、輝きたいのに。
────それは叶わぬ夢だ。