君がいたから 2

「結愛… 」

黙ってうつむいていると優しく抱きしめられる。

「とにかく痛み止めの注射打ったら、話聞くから。全部隠さないで話して 」


迷惑かけたくないから注射が嫌って、口には出さなかったけれど、体は正直で蓮から無意識のうちに離れようとしてしまう。


「嫌なことばっかりしてごめん 」


悲しそうな顔をして私の腕を持つ。

どんなに我慢しようとしても結局大事な人を悲しませることしかできないのか…


針が刺さると腕に痛みを感じ、涙が溢れ出してくる。

それはいつものこと…でも今日はその痛みが心にまでジワジワ広がってどうしようもないくらい苦しい。


「動かなくて、偉かったよ。
そばにいるから、泣きたいだけ泣いていいよ 」

「ウッ…グスン ワーン ……… 」


蓮の胸の中に飛びこみ子どもみたいにワンワン泣く。


悩み過ぎて自分でも何が何だかもうわからない

なのに………蓮の温かさが触れると、迷惑でも何でも頼りたいという気持ちがはっきりと出てくる。

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