君がいたから 2

フラフラする中、何とか仕事用のカバンがある場所までたどり着き、ゆっくりと開けて解熱剤の注射の準備をした。


この注射、効き目は早いけど、
筋肉に刺すから痛いんだよな…

結愛とデートするためなら仕方ない。
自分に言い聞かせ、針を刺す…


痛い。自分で刺すから覚悟できているのに…

俺は結愛にこんな痛いこといつもやっているんだな…

涙を出さないようにと唇を噛みながら、そう思う。




「蓮 ! 」


これで少しは熱下がるかななんて思いながら
注射が終わり片付けようとしたその時、結愛の声がしておでこに小さな手が触れる。

後ろを振り返ると心配そうに、俺を見つめる結愛がいた


「熱あるの? 大丈夫? 」


「おはよう。俺は大丈夫だよ。
結愛、誕生日おめでとう。せっかくだから早く準備しな 」


何とか体調の悪さを隠そうと、いつもよりも明るい声で言った。


なのに結愛は顔色を変えない。

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