君がいたから 2
涙がなかなか引っこんでくれないまま
ふと、視線をテーブルに向けて見るとケーキが切り分けられた状態でお皿に乗っていた。
「俺の分のいちごもあげるからそろそろ泣き止もう 」
「れ、蓮、お母さんたち見ているから…」
ケーキを食べようとしたら、急に口もとに生クリームが少しついたいちごを持ってくる蓮…。
いちごは大好物だけど、恥ずかしい………。
それなのに、蓮はいちごを私の口もとから動かさない。
「結愛、大丈夫だからあーんして 」
「結愛、本当は嬉しいんでしょ。
蓮先生に食べさせてもらえて 」
「俺たちの前で恥ずかしがらなくて良いから 」
諦めない蓮と、ニヤニヤと私を見るお父さんとお母さん。
顔から湯気が出そうなほど、体温が上昇する中、パクリと蓮の指からいちごを食べた。
「おいしいっ ! 」
甘酸っぱい、いちごの味が口の中いっぱいに広がる。