君がいたから 2

「無理でも、やらないといけないから、ごめんね 」


「やだっ、やらないの 」


頭を撫でられたけど
採血の注射器が見えると、さらに怖くなって、椅子から立ちあがる。


「結愛、逃げないで 」


「だってやりたくないもん 」


「それはわかっているから。
力抜いていればすぐ終わるから怖くないよ」


「グスン…嫌なもんは嫌。ヒック 」


蓮が後ろから、抱きしめてくれても、
注射に対する恐怖は無くならなくてどうにか逃げようとモゾモゾ身体を動かす。


そんなことをしていると、診察室のドアが開く。


しかも、運の悪いことに入ってきたのはお父さん。


休日には、お父さんとお母さんの家に行くものの、医者の仕事で忙しいお父さんはいつもいない。

だから久しぶりに会えて嬉しい。
でも、この状況はヤバイよ………




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