先生がいてくれるなら①【完】
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病院からの帰り、私は車に乗り込むなり「先生、彼女いるんですか?」と聞いた。
「あ? んな事お前に関係ないんだけど」
予想はしていたけど、これまで以上に冷たい態度で返されてしまった。
「あの、好奇心からじゃ無くて。もしお付き合いしている方がいるんなら、私が助手席に座ってたら彼女さんが気を悪くしないかなって思って……」
「へぇ、そんな所に気が回るんだ?」
「先生、私を何だと思ってるんですか?」
「……お子ちゃま」
「もうっ!」
私が大げさに不機嫌な表情をすると、先生はケラケラ意地悪そうに笑う。
私はふて腐れながらも「で、彼女はいるんですか?」ともう一度尋ねた。