先生がいてくれるなら①【完】
私はいま、放課後の一年生の教室前に来ている。
部活の新入生獲得のためだ。
「数学研究同好会で~す、一緒に数学の世界を堪能しませんか~!?」
三年生で部長の葉澤先輩と同じく三年の坂本先輩、私と同じ二年生の市橋君と川原君、そして私の五人。
部活動の見学へ行こうとする一年生に手分けをして声を掛け、手作りのチラシを配っていく。
関心を示してくれるのは、やはり真面目そうな眼鏡を掛けた男の子が多い。
女の子は……私をチラリと見て、首を傾げて去って行く。
「数学が苦手でも、ぜんぜん大丈夫だよ?」
話を聞いてくれた女の子に私がそう声を掛けても「ごめんなさい、やっぱりちょっと無理です」と言ってそそくさと立ち去る女の子ばかりで……。