先生がいてくれるなら①【完】
「今年も女子は勧誘出来なかったか……」
先生がまた小声でポツリと口にする。
「私の力不足で……」と私が答えると、フッと笑う声が聞こえた。
「まぁ、数研のマスコットみたいで、いいんじゃない?」
「は? どう見積もってもただの雑用係ですけど?」
「んじゃ、ちょっと雑用やってもらおうかな」
先生は背中を壁から離すと、手招きして小声で「おいで」と言って準備室へ歩き出した。
私は談笑しているみんなをチラッと見て、でも誰も私の事を気にとめていない様子だったので、先生の後について部室を出た。