先生がいてくれるなら①【完】
そして、気付いたらカップに入っていたコーヒーは無くなっていた。
「ご馳走様でした……」
先生には聞こえてないかも知れないぐらいの小さな声で呟いて、私は椅子から立ち上がった。
纏め終わったプリントの束を先生の机の上にそっと置く。
「これ、終わりました」
「ん、お疲れさん」
「コーヒーご馳走様でした。カップ、洗いますね」
「いい、そこにそのまま置いといて」
「……はい。ご馳走様でした」
私がその場から離れようとした時、先生が私の手首を掴んで引き留めた。
そして、はぁ、とため息をついて、手を離す。