先生がいてくれるなら①【完】
* * * * *
翌日、約束(?)通り、先生は私を車で家まで迎えに来た。
ただいま私を乗せてどこかへ向かっている途中だ。
「──先生、どこへ行くんですか?」
「ショッピングモール」
「何しに行くんですか?」
「お前はショッピングモールに買い物以外の用事で行くのか?」
「……行きません」
「だよな」
不毛だ。
不毛すぎる。
私は先生との会話を諦め、窓の外をぼーっと眺めた。
郊外にある大きなショッピングモールは、私も家族や友達と何度も行ったことがある。
今日はゴールデンウィークの前半の三連休なので、きっととても賑わっているだろう。
私は少し不安になっていた。
同じ学校の人にばったり出くわしたりしないだろうか。
そして、私の隣にいるのが藤野先生だとバレたりしないだろうか──。